YURIKA KINOSHITA "SKETCH"

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Curated by:

ArtTechnologies

佐賀の花農家で育ち、幼少期から常に花や植物に囲まれた環境で過ごしてきた木下は、これまでのキャリアを通じて、花や植物をモチーフに幼い頃の記憶をスケッチするように作品を制作しています。抽象表現主義の影響を受けながら、日々生きていくなかで霞んでいく視覚的な記憶を通じて過去と現在を行き来し、作品に落とし込んでいます。

これまで、木下はとりわけ密集して群生する植物を俯瞰的な視点からキャンバスに描き、中心を持たないオールオーバーな構図に重きを置いてきました。

今回の展示では、より近接した視点で対象を描くことで、余白を意識した画面を作り上げています。
作家自身にとって花や植物は自己の感情と対話するきっかけでもあり、そうして作られた作品は一貫して、それらを目にした時に一瞬現れた心の変化や衝撃と言った記憶を追体験するように表現しています。

木下は支持体を床に置き、特殊なペンキを使って素手で描くスタイルで制作します。手で描くという行為は彼女にとって、植物が持つ自由で有機的な動きという要素を表現できるというだけでなく、視覚的なイメージをキャンバスに落とし込む上で必要な対話であり、身体感覚の拡張とも言えます。ペンキが持つ液体特有の自由な振る舞いを許容しながらも、あくまでその流動性の手綱を握って制御下に収める。その作業工程は、ともすれば霧散していく曖昧な記憶の断片を意識的に手繰り寄せていく作業と相似の関係にあります。

本展では、新作のペインティングを発表いたします。

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